話題が限定されているビジネスの現場では、英語力がそれほど高くなくても通用する。しかし、英語でのコミュニケーションを円滑に進めるなら、TOEICで730点以上は取っておきたい。
ビジネスマンにとって、TOEIC730点以上を取る意味は大きい。これまで様々な企業にレッスンを提供してきたが、仕事で本格的に英語を使う会社では730点が最低基準になってきている。
また、転職する際にも英語ができると有利に働くことも多い。何よりこのレベルに達すると英語をある程度理解できるようになるので、その後は楽しみながら自然に英語力を伸ばしていける。
TOEICの点数が上がっても話せるようにならないので意味がない、という意見もあるが、これは違う角度からみる必要がある。TOEICテスト対策だけでは英語が話せるようにならないが、英語が上達する過程で単語やフレーズ、文法などのインプットには必要不可欠だからだ。TOEICに向けた対策で、このインプットを効率的に行うことができるのだ。
TOEIC対策に入る前に、英語習得に向けて、インプットがいかに大切なのかを説明する。英語をうまく話せない人は、話せないのは英語を話すチャンスがないから、と考えがちだ。しかし、これに固執してしまうと、不良ガイジンなどが行くバーやパーティに通うようになり、やみくもに英語を話そうとしてしまう。
しかし、英会話のトレーニングをしていないので、口から英語が出てこない。そうなるとますます自信をなくしていき、英語学習そのものをあきらめてしまうか、会話で役立つフレーズ集のような参考書を買い求めてしまうことも少なくない。
この人たちはどこでどう間違えたのか。それは英語を話しているところだけ目に向けてしまって、英語のインプットをおろそかにしたことが原因だ。
帰国子女というと苦労せずに英語ができるようになったと思いがちだが、すぐにペラペラになったわけではない。最初は黙って現地の学校の授業を聞きながら英語の知識を蓄積し、数ヵ月経ってやっと英語が話せるようになったはずだ。
仮に、英語が話せるようになるまで３ヵ月かかるとすると、学校の授業が１日４時間あればリスニングだけで80時間行うことになる。３ヵ月で240時間に達すれば授業以外でも英語を話そうとインプットするだろう。
海外という理想的な生活環境でも、このくらいの時間をかけないと英語は上達しない。まずは簡単な英語をインプットするクセをつけ、それと並行してインプットした英語の理解度をアップさせる勉強をし、そして理解した英語をアウトプットするトレーニングを行う。これが英語上達の王道だ。日本で英語を上達させるなら、この３つを心がけて英語学習を行う必要がある。
ビジネスマンにとって、インプット量を増やし、インプットした英語の理解度をアップさせるためのトレーニングとして適しているのがTOEICだろう。TOEICの点数は学生の時より社会人のときのほうが伸びやすい。ビジネスに必要な英語力を判断するためのテストなので、オフィス内でのやり取りなど馴染みのある環境の質問や短時間に問題解決するなど、ビジネス経験を生かすことができるからだろう。
過去にTOEIC対策をしたAtlasの６カ月以内（ショートプラン）のデータでは、20代後半で平均90点、30代で平均160点、40代では平均140点と伸びている。１年あれば200～400点を伸ばすことも十分可能になる。
なお、社会人の平均スコアは400点後半だが、これは少しでもTOEIC対策をした人の場合だ。高校や大学卒業後、全く英語を使わずに生活してきた人の平均点は300点前後だ。最初に受けた点数が低くても気にする必要は全くない。
コンスタントにTOEICスコアが上がれば自信につながるし、何よりTOEICはコツコツ取り組むことが得意な日本人ビジネスマンと相性がいい。仕事に追われて英語習得のために時間をかけられないなら、まずはTOEICで結果を出して、その後に本格的なアウトプットのトレーニングを行うのも手だ。
| 
